誰にでも弱点はある サンタ マリア デッレ グラツィエ教会 ミラノ

2020年1月訪問 イタリアからコロナがなくなるまで書き続けます。

 ★誰にでも弱点はある サンタ マリア デッレ グラツィエ教会 ミラノ


レオナルドが生涯にわたって繰り返す、問題とは何だったのでしょうか。

 また少し教会の周りを散歩しながらお話ししましょう。




 『レオナルド ダ ヴィンチ』は、1478年彼が25歳ごろフィレンツェ政庁(パラッツオ・ヴェッキオ)の3階にある聖ベルナルド礼拝堂の祭壇画の依頼を受けます、しかし彼は手付金などをもらっておきながらこの祭壇画を完成していません。

 この絵は現在はバチカン美術館にあります。それが『聖ヒエロニムス』です。この手付金の授受については、政庁の帳簿に毎年繰り越されていたという記述から分かります。

 また、1481年彼が29歳ごろサン・ドナート・ア・スコペート修道院から極めて良い条件で、絵の注文を受けます。
 この修道院では彼の父が顧問的な役割を担っていましたから父親からの推薦もあったのでしょう、しかし彼はこの絵も完成していません。
 ここでも前払い金を受け取っています。




 それではどうしてレオナルドはこうした未完成の作品を多く残したのでしょうか、それにはいくつかの解釈があります。

 ひとつは、彼が完璧主義者だったので、少しの妥協も許さなかったというもの。
 
 二つ目は、絵を描いている途中に完成された絵が見えてしまうというもので、その瞬間から、彼の中からその絵に対しての興味がなくなってしまうというもの。
 
 三つめは、彼は絵を描くのに長い時間をかける(かかる)画家でした、徹夜して描いていたと思えば、何日間か放り出してしまうこともあり、アトリエに来たかと思うと戦一本を加えてかえってしまう、このような振舞いから、彼の性格的な問題を指摘するもの。
 
 その他に、も手の震えなど身体的な問題を指摘するものなど多岐にわたります。





 私は研究者ではないので、もちろん確定的なことを言うことはできません。
いずれにしても大画家と呼ばれるにもかかわらず完成された作品が少ないことは間違いありません。

 契約不履行を繰り返すので、高い才能を評価されながらも、頭角を現すことができずにいるレオナルドでした。