おいしさと歴史の香が漂う界隈 エドガー・キネー ヴァヴァン その①

60歳になったのを機に欧州気まま旅を始めました。

何年にパリに来たのかは記録していませんが、その時に泊まったのはオテル・オデッサ・モンパルナスでした。私としては30数年以来のパリだったのです。

その時は、このオデッサホテルにレオナール・フジタ(そのころは藤田嗣治)が滞在したホテルであるということは知りませんでした。

オテル・オデッサ・モンパルナス

現在は、造花をたくさん取り付けた今流行風のホテルのサーフィスになっていますが、私が泊まった頃は何の飾りもないただの古びたホテルでした。

格安海外ホテル検索サイトで探した、安いホテルで、ネットは部屋で繋がるということでしたが、電波は弱くカフェまで下りていかなければネット検索もできない状況でした。

部屋も狭く、歩くとギシギシいうただの安ホテルでした。多分フジタもそんなところでホテル選びをしたのではないでしょうか?

しかし、この1階のカフェに座ってエスプレッソを飲むと十数年前の思い出がくっきりと浮かんできます。

1913年フジタが27歳の時にオデッサホテルに泊まり、そのどこからかからオテル・エドガー・キネをながめたようです。

「ホテル・エドガーキネ」という絵をカルナバレ美術館で見ました。フジタがパリに来て最初に見たオテル・エドガーキネからはかなり年を経た1950年、日本から失意でパリに戻ったフジタが描いた絵でした。

絵の下のほうに、赤い帽子をかぶった少女と黒い犬が小さく描かれていて私のお気に入りの1枚です。

 

オテル・エドガーキネ

現在のオテル・エドガーキネです。

特徴的なファサードですね。特に屋根に取り付けられている円形をいくつか並べた飾りは1950年にフジタが描いた絵とそれほど変わっていません。

 

オテル・オデッサ・モンパルナスから見るとオテル・エドガーキネはエドガー・キネ通りを挟んで対面しています。地図で見てみましょう。

オテル・エドガーキネ周辺地図

このあたりはモンパルナス駅に近くなんとなく猥雑な感じと、郊外電車に乗る人たちがせわしなく歩き回るそんなわさわさした感じがとても私にはあっているのですね。

そして駅と反対側にはモンパルナス墓地があります。このあたりのホテルに泊まるとモンパルナス墓地は朝の散歩コースにお勧めです。

 

オテル・エドガーキネの入り口

パリのなかでは、あまり有名でもなくランドマークがあるわけでもないのですが、時間があればぜひこのあたりを散歩することをお勧めします。

オテル・オデッサ・モンパルナスの、今は厚化粧になってしまったカフェに座って、レオナール・フジタになったつもりでオテル・エドガーキネを眺めるだけでもその価値があるというものです。

それでは次はヴァヴァンのほうにおいしいものを探しに行きます。