暗闇に輝く聖母子像 サン・シルピス教会教会

前回の記事で、説教台の上に置かれている「聖母子像」のことを書きましたそ、の時にサンシルピス教会にはもう一つ「聖母子像」があるとお話ししましたね。

 

説教台天蓋の聖母子像

それはこの教会の入り口方見て一番奥の後陣にある「聖母礼拝堂(Lady Chapel または Chapelle de la Vierge)」にあります。

 

聖母礼拝堂にある「聖母子像」

聖母礼拝堂です、中央に聖母子像が置かれ子の礼拝堂にはドームがあり、画像では暗くて見にくいですけれど、聖母の昇天が描かれています。

その下には金箔が張られた豪華な装飾が施されています。

さらにその下には絵画が置かれていてその中央に光の背景を背に「聖母子像」が配置されています。

この礼拝堂全体の雰囲気はとても厳かで、また見る者の心が洗われるような気がします。

 

「聖母子像」に近づいてみました 2019年撮影

近づいてみると更に「聖母子像」の細部が見えてきます。

マリアは足で蛇を踏みつけています、蛇はエデンでイブをそそのかして禁断のリンゴを食べさせた邪悪に満ちた存在です。原罪からの克服を現わしているわけですね。

そして背景ですが、ステンドグラスから差し込む自然光とうまく溶け合って本当に光を出しているかのような錯覚を見る者に与えます。

これは、バロック時代に用いられた手法で、グロリアと呼ばれる様式のようです。

少し暗めの教会のなかですから、この聖母子像だけが抜き出されるように浮き上がって見えるのは感動ものです。

 

「聖母子像」の拡大画像 2019年撮影

 

この聖母子像ですが、マリアは目を閉じて少しうつむいています、これからわが子が苦難の道を茨の道を歩いて行くことを予感しているのでしょうか?

聖母子を描いた作品ですが、時代を問わずこのようにマリアの表情は苦難に満ちた表情をしているものが多いように感じます。

一方幼いキリストです、絵画ではキリストが描かれるときには少し変顔というか大人顔というかそんな顔に描かれることが多いです。これは、キリストが神格を持つものとして普通の赤んぼとは違う存在として考えられていたためにあえて変顔や、大人じみた顔に描かれていたということです。

この像の幼いキリストを見たときに、ローマで見たカエサルの彫刻を思い浮かべました。きりりとした顔立ちで、目はしっかりと見開き意思を表しています。キリストはマリアとは違う角度から将来を見つめているんですょうか?将来の磔刑に至る道をしっかりと見つめ果敢に挑戦しようとする姿が伺えます。

それにしても、この作品の完成度は素晴らしいものがあります、マリアの持つやさしさと人間としての弱さやもろさ、そしてキリストの大人びた顔が表現する神へ成長していく神格を持った人間としての存在が、見事に表現されています。

キリストの右手は前に差し出されており、マリアのデフォルメされた右手はしっかりとイエスを支えています。

この「聖母子像」は現在の大理石像は ジャン=バティスト・ピガール(Jean‑Baptiste Pigalle)が1760年頃に制作したものです。

その前には銀製の「聖母子像」が置かれていましたが、フランス革命の際に接収され融かされてしまったということです。

「聖母子像」は長い歴史と変遷を重ねながら、信徒たちに支えながら現在まで至っているのです。