サン・ジェルマン・デ・プレ教会にもたくさんの礼拝堂があります。
その中で後陣の一番奥にあるのが被昇天の聖母に捧げられた主礼拝堂(軸礼拝堂)聖母礼拝堂です。

シンプルですがとても美しい姿ですね。
この礼拝堂は主祭壇と後陣を結ぶ主軸上にありもっとも意味のある存在が置かれていると言えます。つまりこの像は聖母マリアが昇天という意味を持っているといわれています。
像自体は壁龕の中にあり、マリアはすこしうつむき加減で手にイエスを抱いている姿は特に特徴的なものはありません。
この彫刻の作者と作成年は調べたのですが分かりませんでした。
両脇には壁画が描かれています。

東方の三博士
この壁画はイエスが生誕した時に星に導かれた東方の三博士がイエスに礼拝したという聖書の記述からとられたものです。

神殿奉献(La Présentation de Jésus au Temple)
聖母マリアとその夫ヨゼフがイエスをエルサレムの神殿に連れて行き、祭司シメオンに捧げる場面です、これも聖書の重要な場面を壁画にしたものです。
いずれもグリザイユ手法で描かれています。
グリザイユザイユというのは灰色、黒、白の色だけを使って描く手法だそうです。ほかの色を使わずに色の濃淡だけで立体感を作り出します、その効果は描かれたものがあたかも浮彫りのように見えることです。これによってその場の重厚感を出します。
一種のだまし絵ですね。
この壁画の作者はイポリット・フランドラン(Hippolyte Flandrin)(1809-18064)
宗教画を数多く手がけたフランスの有名な画家です。
制作年代は1840年から60年の間のようです。
イポリットの晩年の大作ですね。
この礼拝堂はドームに天窓が作られて、そこから自然光が差し込み聖母像がよく見えるようになっています。聖母昇天という意味もあるので、天に登っていくかのような効果を演出してみたかったのかもしれなせん。
2025年4月訪問 i-phone16pro