杖に咲いた百合 ヨセフ

前回は「無原罪の御宿りの聖母」をご紹介しました。

この彫刻はシンプルですが、思わず像の前で見とれてしまうほどの良い出来です。

今回は「聖ヨセフと幼子イエス」です。

この「ヨセフ」は12人の使途のヨセフではなく、イエスの養父であり大工の「ヨセフ」のことです。

ノートル・ダム、アワー・レディーと呼ばれる聖母マリアはよく知られている存在ですが養父のヨセフはあまり話題には上りません。

この礼拝堂には「聖ヨセフと幼子イエス」が中心に置かれています。

見てみましょう。

聖ヨセフと幼子イエス

ヨセフが幼子イエスを左手に抱いて、右手には杖に咲いた百合を持っています。

この百合が咲いた杖の物語は、聖書ではなく聖書の外伝(古い説話集)に書かれている者なのであまり一般的なものではありません。

マリアの結婚相手を決める時に何人かの候補者たちが祭壇に杖を置くとヨセフの杖には百合が咲いたというお話です。

やはりこの像も2本の赤い大理石の角柱に囲まれています、この柱の上に載っている屋根のような部分はエンタブラチュアと呼ばれますそしてその中段には文字が彫られています(ALTARE PRIVILEGIATUM)と読めます。意味はいずれかでお話しした「特権祭壇」です、教皇庁から特別に認められたものなんですね。

そしてその下には赤と緑の大理石に縁どられた中に金属製のレリーフが埋め込まれています、これを拡大してみると中央に横たわっている人がいてその両脇には二人の男女が祈りを捧げています、これは「ヨセフの死」を彫り込んでいる可能性が高いそうです。

 

聖ヨセフと幼子イエス 近景

では、この彫刻を見てみましょうこの場所は聖ヨセフ礼拝堂。

作者はJules Constant Destrez(1831-18882) 作成時期は19世紀後半

ヨセフが少し右に体をねじるような体制でイエスを抱いています、左手にはイエス右手には杖に咲いた百合を持っています。

髭のヨセフは少しうつむいてはいますが、目は開いています、一方イエスは左の手の指二本を高く掲げています、これ祝福のポーズで、キリストの神性と人性を現わすポーズです、多くの作品で見ることができますので覚えておいてください。

ヨセフが着ているマントの衣紋は簡単に表現されています、これはヨセフとキリストの表情に間がいくようになっているからだと思われます。

二人の顔はとてもリアリスティックです、イエスは多くあるような変顔ではなく凛々しい表情に彫られています。腕や、腹や足はむっちりとしていて幼児の体系を見事に表現しています。

全方向からは見ることができませんが正面性の強いものではなく全方向から鑑賞に堪えるものだと思います。

この礼拝堂に入って感じたことはすがすがしさでした、周りはざわざわした状況でしたが、この中では一瞬その音が消えるような感じもしました。

教会ではいろいろなことを感じることがあります、歩き疲れて教会に入ってしばし体を休めます、私はクリスチャンではありませんが、そんな時心の休憩ともいえる時間に巡り合える時があります。

 

2025年4月訪問 iphne15pro